10/5 スペース・ゼロ『C'est PromiS』:(梅棒)

http://produce.dynamize.net/CestPromis/index.html


番外公演は今回で二回目になるのですが、前回は結構イマイチで、
いつも梅棒は2回観てるのですが、前回の経験を踏まえて、
今回は1回分しかチケット取りませんでした。
良かったら、後から増やせばいいかなー、と。



さて、観た感想としては、

・前回よりは面白く感じた

・細かい所、要所要所はとても良いが、ストーリーを含めた大枠で見ると、微妙かも

・2回目観るかと言われたら…安いor良い席が確約出来るなら…


って感じかな。
まあ、結局2回目は観なかったんだけどw




〇曲が色々ある

前回公演は、曲が全曲バンプオブチキンだった。
これがあまりにもきつすぎた…
全部同じに聞こえて全然印象に残らなかった。



今回は、セカオワ比率が高いものの、
従来の梅棒のような選曲クオリティ。
セカオワ自体も、
ストーリーを奏でるのにピッタリのアーティストだと思うし、
バンプよりは馴染みやすいし、良かったです。



〇セリフがある

基本的に梅棒にはセリフが無い。
しかし、全くないわけではなく、要所要所で少しだけあったりする。


んで、前回公演では、あえての差別化なのか、セリフが一切なかった。
それはそれで良かったが、
今回は逆に、セリフの量をかなり増やして、映像での演出も取り入れた。
こっちの方が演劇感もあって、面白さに繋がっている要素が多かった。


しかし、肝心のセリフは、聞き取りづらい場面も多かった。
噛んだりミスったりしてる人もいたけど、
「何言ってるかわからないギャグ」みたいなセリフもあった(と思う)ので、
あえてなのかナチュラルに間違えてるのか分からない場面もあったw




〇パンフにストーリーが書いてない

前回は、パンフにストーリーが全部書いてあった。
公式によるネタバレ…これはかなり微妙だった。
そこはしっかり改められていてよかった。




〇役柄の詳細

梅棒では、一人の役者がメインの役の他に、
サブ的な役をこなす事がある。
そのサブ的な役は、特に記載が無いのが普通だが、
前回公演では、それが全部書いてあった。
これは親切だなーと思ったのだが、
今作ではそれも無くなっていた。
これはあっても良かったのに…


まあ、前回は、メインの役が無くてサブ役ばかりやるようなキャストもいて、
今回と違うから、ってのもあるのかもしれないが、
多分「ストーリーが全部書いてあった件」とリンクしてオミットされたんでしょうw





〇現代と戦国時代が交差するストーリー

この作品は、おそらく戦国時代をメインに、
その戦国時代の登場人物の生まれ変わりの現代のストーリーが
交互に語られ、最終的にいい感じに交差する…
って感じのストーリーなんですが、
これがあんまりいいと思わなかった。


現代なら現代、戦国時代なら戦国時代一本でいっても良かったかなー。
あんまり効いてないのよ。
生まれ変わりの設定も含めて。
特に戦国時代のストーリーはかなり良かったので、
そっちメインで良かったかなあ。
いや実際メインではあるんだけど。




ちなみにストーリーは


・戦国時代

舞台は九州。
どっかの大名の勝気な娘が、
「夜鷹衆」という野盗を束ねて活躍。
結婚もする。
しかし豊臣秀吉に滅ぼされる



・現代

その勝気な娘の生まれ変わりが、地元の九州に娘と帰ってくる。
旦那と死別していたが、地元に来て気が晴れた。
「夜鷹衆」の生まれ変わりと楽しい時間もありつつ、
嵐の夜に娘が行方不明になりかけたが、セーフ。





ってな感じかな。
文章化しても分かると思うけど、現代が薄いんだよなーw
夜鷹衆の生まれ変わりってのも、あんんま効いてなかったし。
行方不明のくだりも、なんでや、って感じだし。




〇羽犬、主人公の魅力不足

今作は、事前情報として、九州地方に伝わる羽の生えた犬の伝説をモチーフに
作られたという事が公言されてました。

で、今作の主役が、羽犬の像と同一である、「夜鷹衆」の頭領、鷹彦だ。
この主役が…まーじで存在感がない。


なぜか「しゃべらない」という設定がなされており、
物語にも絡みづらく、
「夜鷹衆」としての存在感も、
「リーダーで他メンバーよりちょっとだけ強い」程度のもの。
誰かと恋仲になったりするのかと思ったが、
別段そうでもないし、マジで意味不明。
イマイチになってる要因の1つだと思われる。




〇秋月竜子(戦国)&大鳥涼子(現代) <原田樹里>

じゃあ主人公は誰か、と言われたら、彼女だろう。
一説では全シーンに出てる、と言われるほどの出番の多さ。
もちろんセリフも多い。

ストーリー上でも中心にいるし、キャラクターもいい。
現代版はやたら説明台詞が多いのが気になったが、
まあ、あえてなんだろうなー、って感じだから、ギリセーフか。


原田さんは過去のキャラメルボックスでのコラボ公演でも好演していて、
また見たいと思っていたので、ナイス人選ですね。
戦国でのセリフ回しが良かった!





城井朝房(戦国)&宇都宮智樹(現代) <古谷大和>

今回一番印象に残った役者が彼だろう。
ロビーの花も多かったし、集客役として期待された、
人気役者なんだろうか。


やたら大声を出し、積極的なツッコミで笑いを取るスタイル。
この演技プランが古谷さん自身の引き出しなのか、
遠山さんの演出なのかが気になりましたw
他の役も見てみたいなあ。



そんな面白要素が目を引きますが、悲しみの表現も素晴らしく、
今作の俺の中の主人公である原田さんの相手役としてふさわしかったです。




〇秋月種実(戦国)&上杉雅史(現代) <佐藤貴也>

俺の中の主人公である原田さんの父役。
戦国でも現代でも。
現代でなんで父と娘で苗字が違うんだろ。
なんか今作は、描かれてない裏設定が色々あるらしい。
パンフやチラシにも、
劇中で描かれてない設定とか書いてあるもんね。


あんまりピンとこない役者だったなー。
現代のお父さん役はよかったけど、
戦国の大名役は、もしゃもしゃした声質のせいか、
威厳が感じられず、イマイチだったかな。




〇大鳥麻夏(現代) <冨永さくら>

現代の俺の中の主人公の娘役。
中2という設定だが、実年齢よりも幼く描かれている。

その幼さは十分演じられていたが、
「大人の女性が無理して子供を演じている」という苦しさも伝わり、
なかなかに苦しかったですw




〇夜鷹衆

存在感の無い主人公含めて、全部で5人。
それぞれ刀、爪、鎌、棍など、攻撃方法やビジュアルに特徴があり、
とてもカッコいい。
直近だと、「曇天ガエシ」のクニクズシのようなカッコよさがあったかな。


ただ、ビジュアルは特徴があると言ったものの、黒が基調となっており、
もうちょっと色分けによる区別がなされてもいいかな、と思った
(特に見慣れていない最初の方に感じました)。


現代になると、ポストやバス停の生まれ変わりとなり、
親娘と遊んだりする。
こちらは、「おどんろ」の妖怪たちを彷彿とさせる感じがあったかな。

ただ、それほどの存在感も無く、あまり効いてない存在。
彼らが動き出したときの、受け入れの速さはちょっと×かなー。
もうちょっと引っ張って欲しかったw




豊臣秀吉(戦国)&豊田英樹(現代) <後藤健流>

今作のラスボス的存在。
そのビジュアルは、非常に大衆演劇的www
派手めな秀吉像です。

現代では、市長役として圧倒的存在感を見せるパフォーマンスをするのだが、
圧倒的存在感を示しながらも、登場はそのワンシーンだけ。
もっと絡むのかと思ったら…これならいらなくね?って思っちゃった。
パフォーマンスのシーンは非常にいいんだけどね。




黒田孝高(戦国)&田所官(現代) <志村倫生>

戦国においても、現代においても、後藤さんの側近&秘書と、
脇を固める存在。
現代の秘書役は、メガネが非常に似合っていて、
及川光博的美しさもあった。




蒲生氏郷(戦国)<古謝那伊留>&前田利長(戦国)<朝田淳弥

主に二人で登場して、コンビでの軽妙なやりとり、説明、
本筋の殺陣のシーンなどで活躍。
決していらない存在だとは思いませんが、
中ほどにあった、荷物を運んでるシーンは
「この2人に出番を与えるためのシーン」って感じがして、
いらなく感じたなあ。
それよりは市長のシーン増やすとか、他のところ膨らませてほしかった。


梅棒によくある、開演時のつかみのシーンも、彼らが担当。
携帯の電源を切らせるような、業務的アナウンスは無し。

客と一緒に手を挙げて声出すようなやり取りもあるのですが、
それが本編でやったりするのかなー、と思ったら、そういうのは特になく…





〇マスカダンサー

前回にもあった、心情を表すような女性のダンサー衆。
彼女たちの存在が、従来の梅棒公演と違う最大の特徴の1つと言っていいだろう。
視覚的に分かるからね。


前回をもはや覚えてませんが、前回以上に、ダンスだけではない
関わり方が見られて、良かったように思えます。


ポストやバス停に命が宿る?演出めっちゃ良かったなー。
謎の光が綺麗だった。




〇通路での芝居

「上演中、キャストが客席通路を通る演出を予定しております。
通路に荷物やお身体が出ないようご注意ください。」
というアナウンスがされており、通路での演出があるんだろうなあ…
というのは分かっていた。


しかし、その数がかなり多い!!!
最初は「ああ…コロナ禍が明けたんだなあ、冒頭で声出しもあったし」
と感慨深くなっていたが、想像以上の量に、普通に驚いてしまった。


俺の席は11列目。
真ん中よりは後ろの席なわけだが、その真ん中の通路を横切るようなシーンも多く、
その時は良く見えましたし、逆に前の席の人は、後ろを振り返らなければならず、
なかなか大変だったと思います。
しかし、とても良い試みであったと思うし、
特に水の演出を通路でもやったのは、クライマックス感もあって良かった。




〇殺陣のバランス

本作は、戦国モノで殺陣のシーンもたくさんあるが、
これが多すぎると飽きてしまう。
ほどよいバランスでまとめられていたのは〇。
現代と交差させたメリットは、ここにあるのかなあという気になった。






そんなところかなー。
今回は1回だけの観劇でしたが、次回は2回観ようかなーという気になりました。
トータルでは面白かったし、ツッコミどころこそありましたが、
満足できる内容であったとは思います。
まだまだ進化を遂げるであろう、遠山さんの世界を見てみたい!