5/19 あうるすぽっと 『The Story seen from the balcony オシャレ紳士と梅棒のベランダカラミルセカイ』:おしゃれ紳士 梅棒

http://produce.dynamize.net/oshaume2021/about.html


おしゃれ紳士は梅棒界隈でよく見る名前だし、
梅棒公演におしゃれ紳士の役者が出る事も多く、
それが素晴らしいので、期待感もありましたが、
どういう内容になるのか、梅棒らしさはどれくらいあるのか?
というのが全く読めず、不安要素にもなっていました。




で、観た結果ですが、
〇×で言ったら×。
正直厳しいな、と思いましたね。





まず、メインのストーリーってのがあるのだが、
そのストーリーが進んだと思いきや、すぐ脇道にそれて、
音楽に合わせたダンスメインの1曲1話っぽい感じの全く別の話が展開する。
しかもそれがまあ~面白くない。
コントにしては笑えず、お話にしては良く分からず。
ダンスは特に後半になればなるほど良くなってはいったとは思うが、
メインのストーリーとリンクしてるわけではないから、
梅棒のように印象に残る、という事が無い。
右から左に抜けていってしまう。

数々のJ-POPが使われたのは、
「Fight For F」の全曲バンプにやられた俺としては朗報だった
(パンフにセットリストが書いてないので、なんならJ-POP使われないんじゃないか?と危惧していた)
が、使われているシーン自体が印象に残らないから、
結局J-POPもどうでもいいかなーって気分になっちゃう。



この脇道の別枠が20分くらいやって、本編に戻り、本編5~10分やって、
また別枠20分くらいやって…みたいな展開なのよ。
本編より別枠の方が長いっていう…


この舞台構成が掴みづらく入りづらい。
というか、そこまで入り込むような舞台ではないって事なのかもしれない。
なんかねー、あんま稽古してないんじゃないか?
作り込んでないんじゃないか?
っていう気にさせるのよ。
フリはそこまで揃って無いし、
梅棒の緻密で良く出来た舞台構成からすると、雑にすら感じる。
メインのストーリーをこういう扱いにしてる自体、それがメインではないし、
それで楽しんでくださいってわけでもないでしょ?


メインのストーリー自体は、決して悪くない。
どちらかといえばパッとしない舞台役者が、
ひょんな事から勇者的なものに選ばれ、
役者である自身のアイデンティティ爆発させて敵を倒す、みたいな内容。

そのアイデンティティの部分でなるほど、と感じさせる部分もあるが、
だったらもっとちゃんと本編を作り込んで欲しいのよ。
こういう舞台構成だから、本編もあえて要所要所を省いた内容になってるが、
その辺も作り込んだら、きっと面白い舞台になっていたはず。
それを放棄してよくわからない別枠を入れる理由が分からない。


あと、セリフも長いなー。
あえての長台詞なんだろうけど、聞いてる方は飽きるし、
長い台詞を必要とするような重厚な内容なのか?
ストーリー見せたいのか?
物語描きたいのか?
じゃあ別枠無くすか削るかしてくれよ。
この内容で長台詞でストーリーに入り込もうなんて高望みですよ。

役者として出演した梅棒の今人さんは、
その長台詞のせいか、台本が終盤まで手放せなかったって言ってたけど、
それすなわち、覚えにくい=聞く方も分かりにくいって言えるんじゃないかなあ。


ちなみに1時間50分の公演だが、
最初2時間30~40分くらいあったってツイキャスで言ってたけど、
それもなんだかなあ…
やっぱり、それだけ本編を描きたかったわけなんだ。
だったら別枠削って描いてくれても良かったのに。
この別枠みたいなのは、おしゃれ紳士の恒例らしくて、
過去にやったようなネタもあるらしいんだけど、
そんな知識も無い俺としては、
つまらん別枠いらないから、本編しっかりやって欲しいなーってなっちゃう。



オープニングというか最初の導入?も良くない。
ウーバーイーツ配達員との2人芝居が始まるのだが、
なんか良く分からない。
この良くわからなさが演劇的とも言えるのだが…
当然のごとくウーバーイーツ配達員はクライマックスに再登場して
伏線回収というか、オープニングに意味あったんだなーって感じさせるが、
それ以上の事が何も起こらない。
予想を上回ってくれない。


で、その導入後、おしゃれ紳士の座長的な人が、
前説&クライマックスでの拍手の要請をするんだけど、
それも最悪(は言い過ぎかもしれないが)。
まず俺は舞台の世界に没入したいわけよ。
んで、先ほどのウーバーイーツ配達員とのシーンは
微妙だったにせよ、一応没入してるわけ。
それが、この人の登場で一気に現実に引き戻されるわけよ。
舞台の世界観と地続きのキャラクターで拍手要請ならわかるが、
そんな感じでもない、一般人としての座長としての要請なわけよ。
これは冷める。


思えば梅棒の開演5分前から始まるあの一連の導入は、
素晴らしいなーと思っているわけよ。
それと比べると、この前説には、なんの工夫も感じられない。





おしゃれ紳士は、自らのパフォーマンスを「茶番劇」と位置づけているそうだ。
確かに茶番だ。
じゃあ俺は茶番が見たいのか?と言われたら、否だろう。
もっと作り込まれたしっかりしたものを観たいと思う。

別に、演劇的表現として今回の形があるのは否定しない。
ただ、俺には合わなかったし、入り込めなかった。


ちなみに終わったらスタンディングオベーションが。
ええっこの内容でマジで?!
と不思議がっていたが、ツイッターで感想検索したら、
かなり褒めてる人多いんだよなー。
もちろんSNS上の感想なんて、褒めるのがマナーみたいな所もあるし、
マイナス意見は書き辛いってのも分かるが、
こんなに自分の感想と乖離した感想が並ぶとは思わなかった…
一緒に見た友達も、おおむね俺と同意見だったけど、
俺たちが少数派だってのか?!
まあ、この内容、この形式は舞台でしか表現できないものかもしれないが、
舞台というものの難しさ、敷居の高さも感じられたよ。
俺もそれなりに観劇経験あるけど、決まったテリトリーから出てないからなー。
そういう意味では良い経験になったかな。




あと、今回のチケット代は「Fight For F」と同じ7300円だが、
正直高すぎる、と思った。
この内容なら3000~4000円が適正じゃない?
衣装や舞台装置も無いに等しく、
役者もそこまでヒキのあるような高額ギャラの人がいるとも思えず。
そもそもこんなに役者いらない。
半分でもどうにかなるんじゃね?
もちろん大人数でのダンスに迫力があるってのは分かるが、
それでもいらんなーって思っちゃう。




〇歌詞ハメ

梅棒にもあるような歌詞に合わせて動く歌詞ハメは、
梅棒とはまた違ったアプローチで、あれはあれで面白かった。



〇池田遼

2月の本公演で圧倒的な存在感を見せた池田さん。
その存在感は今回も健在。
メインどころの役を与えられたのもあり、目を引く存在になってました。
どこか女役を期待してしまう自分もいたりしてw



〇客入り

平日でしたが、初日の夜という事もあって、
「Fight For F」の土曜ばりに入ってたかなー。
ツイッターの評判もいいし、
全体的には好評なのかなー。



とりあえず俺には合いませんでしたが、
次回があるなら、暇だったらもう1回くらいは行ってみるかもしれません。
1回では判断しない。
期待しないで見たらアリに思えるポイントも多いかもしれないしw