ちょっとした知り合いが出てるので観劇。
ズッキュン娘というのは全く知りませんでしたが、
基本女性しか出ない舞台のようです。
劇団員も、主宰の藤吉みわって人しかいないようです。
ですが、今回は(ほぼ)同じ話を女性バージョンと男性バージョンの
二つ公演する、という変わり種。
ズッキュン娘の男性バージョンが観れるのはこの公演だけ!という
お得感というか物珍しい要素もあるようです。
まあ、俺にはあんま関係無いけど…
その、男性バージョンを見て来た、というわけです。
なお、出演者は、その知り合いと、あさりどの川本成さん以外、全く知りませんw
内容ですが、売れないアイドル(マカロニボーイズ)やってた主人公が、
踏切自殺しようとしてる元芸人と会い、
それに触発されて二人で芸人になってM-1的なコンテストを目指す、
って感じです。
なので、芸人やアイドル役の人が多数出演します。
内容は分かりやすく、しっかりとした現代劇で面白かったです
(ピヨレボはリアルなのやらないからさ…w)。
登場人物は多いですが、
メインどころのキャストを中心にしっかり話が作られていて、
特に主人公を含めたマカロニボーイズの4人が芯になるような話になっていた。
その分、脇役の人は脇役って感じになってたのが、残念と言えば残念。
ピヨレボはその辺、皆出番があって、話も上手く作ってるからさ。
あと、俺の推してるピヨレボがミュージカル風だったり、
推し始めの梅棒がセリフ無しのJ-POPにダンスで構成された
舞台だったりと、いわゆる普通の演劇には無い要素を持ち合わせて、
そこがヒキになっている、という現状で、
「普通の演劇」という部分に対する物足りなさもあった。
というのも、この舞台にもアイドルが出るから歌があったり、
転換で大勢のダンスがあったりするんだけど、
ピヨレボや梅棒と比べると弱いというか、必然性を感じなかった(特にダンス)。
エンタメの一つで入れました、って感じ。
なまじそういうのが無かったら比較しなくて済むけど、
あるからには気になってしまう。
また、内容も分かりやすいんだけど、要所要所、分かりにくい箇所があった。
・マカロニボーイズの一人が、グラビアアイドルとのスキャンダルが発覚するシーン
電話で他の人(出演するドラマの偉い人かな?)と会話してるシーンの
セリフが聞き取れなかった。
「他の出演者のセリフも覚えました」とかアピールして、
その後にスキャンダルが告げられるみたいで、それに対するリアクションを
しゃべるんだけど、その肝心のセリフが良く分からず…
まあ、その後のシーンで「なんかスキャンダルあったんだな…」ってのも分かるし、
他のシーンで確定になるんだけど、他が分かりやすく作られてるこの作品で、
そこはもっとダイレクトに伝えてくれても良かったかな。
・M-1的コンテストの決勝
ご丁寧に、主人公たちの他の芸人も4〜5組くらいいて、
そのほとんどが、このM-1でちゃんとした登場は初めて、という場面。
出演者が揃って、今から始まる…ってシーンがあって、
そのあとに、その4〜5組のネタが始まる。
それぞれ2〜3分の、いわゆる芸人の一ネタの半分くらいで、程よい時間。
ネタもそれぞれバリエーションに富んでいて上手い…
そう思っていた。
だが、その後の描写で、それが本番前の控室の描写だと分かる。
ええええええええ!?ネタの描写じゃないのかよ!
いやわかりづれー!
あの展開だとネタだと思うじゃん。
それが自然じゃん!
M-1なんだぜ?
しかも、その後ネタの描写があるわけじゃないし…
確かにその描写はコント的であった。
漫才メインのM-1ならあり得ない。
だが、「M-1的コンテスト」をお笑いコンテストと受け取ったし、
そこまで漫才を強調してたイメージもないし、
コントがあっても不自然ではない、と俺は受け取った。
そもそも漫才コントにも見えたし。
あと、その芸人の中に、ほぼセリフもしゃべらず、登場の時も
例の本番前控室のシーンでも、ただひたすらバイオリンを弾いてた人がいるんだけど、
じゃあそれは漫才なのか…?と思ったら、違うだろう。
という事は、コントでもいいはずだ、って思える。
うーんわからん。
〇マカロニボーイズ
4人組男性アイドル。
演じるのは、ハニカム.トーキョーとかいう5人組アイドル。
全く知りません。
マカロニボーイズから漏れた一人は何やってんだ、と思って検索したら、
なんとテニミュの出演経験があった模様。
しかも日程も被ってたっぽいね。
そりゃあ出れないわけだ。
この舞台は、このアイドルグループの解散ライブから始まる。
不人気故の解散で、200人のハコに100人しか埋まらなかったとか、
そのうち友達や身内を除くと、実際のファンは50〜70人ほどだとか、
主人公はマカロニボーイズに未練たっぷりなのに、
他の3人は、もう次の進路に向けて進んでる感じとか、すげーいい。
正直、このオープニングが、この舞台で一番良くできてると思いました。
なお、解散ライブは歌って踊るわけですが(ハニカム.トーキョーの持ち歌らしい)、
手の角度が微妙に違ってたりと、あまり揃ってないなー、と感じる所が…
不人気で解散だから、その未熟な感じも演出かと思いましたが、
そうではない説も…真偽は不明ですw
〇住吉純(川本成)
この作品のメインはマカロニボーイズの4人+この成さん。
マカロニボーイズの役者は舞台初経験のアイドルだが、
そこにベテランの成さんがビシッと締める、って感じ。
成さんは、小堺さんの舞台で馴染みがあったので、
見慣れてる、っていうのもあるが、存在感があり、
素人目に見ても、うまいなー、と思いました。
また、芸人という事で笑いも多数取っていました。
舞台に起こる笑いの6〜7割は成さん発信だったと思います。
ストーリーに芸能界スキャンダルネタが絡むこともあって、
山口メンバーネタを絡めるなどのアドリブも炸裂。
その辺もさすがでした。
開かずの踏切で投身自殺を図ろうとしたところを主人公に止められ、
それがきっかけで主人公と漫才コンビを組む、という流れなのですが…
主人公とその弟が踏切を立ち去ろうとして、
ふらふらした成さんを発見して、「あれ様子がおかしいよ」とか言ってると
飛び込もうとする、そのシーンが、どうも違和感だったんだよなー。
それこそ前述の「わかりやすさ」の象徴でもあるんだけど、
わかりやすすぎて、安っぽく見えるというか、
そんな「まんま」の演出する?
重要なシーンだし、なんか他にあるんじゃね?とか
思っちゃったんだよなー。
で、その死のうとした理由も、芸人として売れてなくて、
母さんも死んで、くらいの理由だったと思ったんだよ。
「死にたい」と思わせる位の芯になる出来事がそのあとに待ってるのかと思いきや、
そういうのも無く、主人公と会ったその日に主人公からコンビ組む事をお願いされ、
なし崩しとはいえ、あっさりコンビを組むことに。
「死にたい」と思ってた人間が、そうあっさり引き下がるのかい!
生きる希望見出すんかい!
まあ、芯になる理由が無かったから、
結局その程度の軽い理由で死のうとしたのかもしれないが…
途中でネタのシーンもあります。
あさりどの川本成が、他の人と漫才やってる所を見れるなんて…!
という感動がありますが、後のアフタートークで分かったのですが、
あさりどは元々コントで、漫才自体人前でやるのがほぼ初めて、との事。
ここまでレアだったのか!
ネタはなかなか面白く、ほぼ一ネタくらいの尺でたっぷり見せてくれますが、
「どうも、ありがとうございました」的なシメの前に音楽が流れて、
ダンスが始まって、ネタの終わりを見せない、一本まるまる見せない、という演出。
これが良く分からないなー。
ダンスのエンタメ性を持ち込むのは分かりますが、
この舞台において芸人に関わる諸々は大事だし、ネタなんて、その肝みたいなもんだから、
終わりまでちゃんと見せて欲しかった。
あと、開かずの踏切で二人が出会ったので、コンビ名が「開かずの踏切」なんだけど、
なんか、コンビ名としては、いまいちしっくりこないというか、
あんまないよなー、っていう気になった。
〇内藤好男(池田慎)
主人公。
マカロニボーイズ解散後、他のメンバーと違い、
次にやるべき仕事が見つからない中、前述の住吉純と出会い、
芸人を目指す。
ちょっとおどおどした感じの見た目が、キャラクターとマッチ。
人の良さも出ています。
最終的にM-1的なやつの決勝までいくのですが、そこでネタを飛ばしてボロボロで、
失意のために開かずの踏切に飛び込もうとするのですが、
なんだかんだで踏みとどまってエンディングというオチ。
このネタを飛ばすという描写が分かりにくい。
その前に水を飲み過ぎて何度もトイレにいったり、
ネタの途中で座り込んだりしたので、
俺はてっきり何が病気で具合悪くなって倒れたのかと思った。
ところが、その後のやり取りを見ると、単にネタを飛ばしただけのようだ。
うーんなんだかなー。
で、その後開かずの踏切に飛び込もうとするのも、
この作品ならではの関連付けにしか思えない。
純粋、天然、ポジティブなイメージの主人公が、
一度の失敗で死のうとするかね?
住吉純の時も思ったけど、死ぬ理由としては弱いんだよなー。
なんか、台本というか筋書きの上にキャラクター達が動かされてる印象。
そういう意味では分かりやすいともいえるのだが…
飲み込みやすいけど、受け入れがたいというべきか。
〇アマリリス(佐倉一芯/齋藤貴裕)
15年くらいやってきた、中堅どころの漫才コンビ。
カッコよくも風格を感じさせるビジュアルがグッド。
準々決勝あたりで「決勝に進めなかったら芸人やめる」みたいな
話をするのですが、結局準々決勝で敗退(開かずの踏切は同じタイミングで勝ち抜ける)。
芸人の悲哀を感じさせる名シーンを演出してくれます。
この時点で開かずの踏切は全くネタをやってないので、
「このアマリリスが敗退して、全く売れなかった住吉純が、芸人として素人の主人公と組んだ漫才コンビが、それまで芸人としての面白さの描写を全く見せずにアマリリス以上の
力がある、ってのはどうなんだ?」という疑問が生じます。
開かずの踏切のネタは、このアマリリスより前に持ってきた方がいいと思うけどなー。
話の都合上、開かずの踏切が勝ち進むのは分かるが、
それにしたって、ある程度の説得力は無いと。
〇モトキ(久保雅樹)
元マカロニボーイズのメンバー。
スキャンダルで干されるが、謹慎期間中に開かずの踏切のネタの制作や裏方を手伝う。
当初は「いっそのこと3人でトリオでやる、って方がいいのでは?」と思ったが、
裏方という別の視点がある事で、深みは出来た気がする。
勝気で強気なキャラクターは、時に声を荒げるようなシーンもあるが、
とても良く演じられてたと思います。
最初の方に、スキャンダルのシーンの声が聞き取りにくいと書きましたが、
それ以外はとても良く、
マカロニボーイズの面々の中でも演技力は高い方だと思います。
実際そういう声聞いたし。
で、このモトキの父ってのが作中で出てくるのが、これが分かりにくい…
スキャンダルが起こった時に、開かずの踏切の二人が、
わざわざモトキに会いに行くのだが、
その屋内っぽい場面で、父がエプロンをつけて、クッキーを持ってくる。
俺はそれを見て父とは認識せず、どっか喫茶店に会いに来て、
そこの仲良しマスターだと思ったんだよなー。
わざわざ家まで行く方が不自然だし、何で家知ってるの?ってなるし。
「エプロンつけたオッサンがクッキー持ってくる」のを見て、
父さんよりは喫茶店の方がしっくり来るんだよ。
まあ、喫茶店でクッキーも苦しいけどw
んで、だいぶあとに、モトキと父がケンカして分かり合うみたいなシーンがあって、
そこで初めて「あ、これ父さんだったんだ」って分かりましたw
この舞台、大枠は分かりやすいんだけど、
こういう所がちょいちょいアレってなるんだよなー。
あと、本来謹慎中なのにテレビ局に出入りしてるのを、
別のアイドルが文春的なやつにチクろうとして、
説得されるというエピソードもあるんだけど、それもなんか弱いんだよなー。
・チクろうとするシーン
・チクって説得されるシーン
の2シーンしかなく、全体への絡みが薄い。
説得するときの芸人師匠みたいな人の言葉を言わせたいだけのシーンに思えた。
あとは、マカロニボーイズの友情も描いてはいるが、その辺は予定調和な感じだし。
〇タクヤ(松江大樹)
元マカロニボーイズのメンバー。
可愛い天然系。
そのキャラクターで解散後はバラエティーなどで活躍。
で、中盤ちょい前というか、序盤ちょい後くらいに、
そんなバラエティーシーンがあるのよ。
中堅どころの芸人コンビ(サブリナ)と、色物芸人コンビ(フルーツ帝国)と
タクヤの5人が席に座り、お題にボケる大喜利みたいなやつ。
そのお題は挙手した客2名がボックスから引くという、
舞台に良くある日替わりアドリブコーナーです。
だが…サブリナとフルーツ帝国は、ちゃんと登場するのはこのシーンが初めて。
キャラクターを把握してないのに、いきなりアドリブコーナーというのはどうなのか…
キャラクターを把握したうえで、アドリブによって素が出たりするのが面白いのに。
なお、アドリブコーナーは、本来一番上手そうな、
中堅芸人サブリナの端から2番目の人が、一番つまらなかったですw
タクヤこと松江さんは、あのコーナーが一番緊張せず楽しくやれた、との事w
初舞台とは思えない、すげーハートしてるなー。
〇リョウ(水野ライアンビンセント)
元マカロニボーイズのメンバー。
解散後はビジネスマンとしての才覚を活かし、
衣装制作などで芸能界にも顔を出す。
それで、開かずの踏切達との絡みもある。
まあ、そんなことはさておき、ハーフらしくめっちゃカッコいいです。
舞台上では仕事の出来るキャラクターだが、
実際はそんなタイプではないので困った、みたいな話を
アフタートークでしてたと思います。
〇優斗(KAITO)
主人公の弟。
怪我の設定により、常に車椅子で出演。
マカロニボーイズの4人と川本成に次いで出番が多い。
弟キャラという可愛らしさとピュアさのある芝居が好感触。
役者の人は、マカロニボーイズ同様、Firlst placeというアイドル?ユニットの人らしい。
かなり動ける人らしいが、なのに車椅子w
そんなところかなー。
面白かったけど、要所要所で?って所も多かったし、
基本的に舞台ってのは、だいたい面白いわけで、
そういう意味での基準はクリアしてるけど…って感じかな。