http://produce.dynamize.net/FightForF/
この舞台は、梅棒のスタッフが関わっていますが、
出演者の中に梅棒の人は2人しかおらず、
梅棒の本公演は、主宰の伊藤今人さんが作・演出しているのですが、
今回は遠山さんという別の梅棒の人が作・演出している、
梅棒であって梅棒で無いような、そういった立ち位置の舞台だと思います。
今回の舞台は、結構な期待感がありました。
というのも、12月にキャラメルボックスとのコラボ公演があったのですが、
そこでやった3つやった短編
(厳密には4つだが、1つはキャラメルの人が演出、残り3つが遠山さん演出)
のうちの1つ「 End ofF Story」の本編のような内容が今回の舞台だからです。
https://falconclaw.hatenablog.com/entry/2021/01/04/124129
で、この短編ってのがめっちゃ良かった。
3つとも良かったのですが、特に「 End ofF Story」はめちゃくちゃ泣けたんですよ。
歴代梅棒公演と比較してもトップクラスかって位。
その本編は、さらにエモーショナルとの情報もあったし、
これは絶対泣けるだろう。
面白さが確約されている。
遠山さん演出も、本公演の梅棒のような楽しさがしっかりあるのも確認済み。
そういう絶対的な期待感があった舞台でした。
だが…うーん…期待外れではあったかな。
最後はちょっと泣けた。
もちろんいいシーンもいっぱいある。
2回見たのだが、2回目の方が泣けたかなー。
良く出来てるのは間違いない。
そんな、期待外れポイントをとりあえずあげていきたいと思います。
まず最大の×ポイントはこれだろう。
パンフ見て絶句したもんな。
J-POPに合わせてダンスしながらストーリーを表現していくのが梅棒。
そこでどういう曲を使われるか、というのが俺の楽しみでもあったし、
そこで良曲を発掘する機会にもなっていた。
タイアップ効果で、良く聞こえるからね。
だが…全曲バンプってのは、そういった楽曲との出会いや発掘の場を奪われてしまった。
バンプは『天体観測』が一番有名だろうし、俺も★5クラスの神曲だとは思う。
だが、それ以外の曲はよく知らない。
ちょいちょい聞く機会はあるが、四つ打ちっぽいカッコいい楽曲もあるなー、
なんなら有名だし人気も高いし、ベストでも借りて聞いてみようかな、
と思った事も無いわけでは無いが、結局実行に移す事のモチベには至らず。
俺の音楽的嗜好は女性ボーカル好きで、
男性のバンドってのはかなり下に位置するからだ。
そのバンプが全曲…
ショックではあったが、見てみないと何とも言えない。
んで…見てみた結果、バンプの曲、全部同じなんですけどー!!!
まあ、それは言い過ぎかもしれないが、
印象に残る曲は『くちびる』という、バンプのアルバムのシークレットトラックらしい
バンプらしからぬ珍曲で、他の曲は俺には何一つ印象に残らなかった。
もちろん、BGMとしてはいい。
いい曲だなー、カッコいい曲だなーとは思うが、印象に残らない。
俺の感覚では全部同じ。
ついでに言うと、本公演にあるような、歌詞ハメとでもいうのだろうか、
歌詞にピンポイントに合わせた動き、というのもかなり少なかったように思う。
もちろん、曲はシーンにはあっているのだが、
あくまで雰囲気、あくまでBGMって感じで、
面白味に欠けたなー。
梅棒の舞台は、観終わった後に、
使われたBGMを聞いて、
そのシーンを思い浮かべる…というのも楽しみの一つなのだが、
今回はそれも出来ない。
曲が全部同じに聞こえちゃうから、シーンとリンクしないんだよなー。
そもそも、また聞きたいと思わない。
〇ストーリーがパンフに全部書いてるwww
こんな事ある???!
いや、少しと言うか、半分くらい書いてるなら分かるが、
全部書いてるのよw
当然、舞台見ながら「あーこの先こうなるのかなー」と、思った通りの事が起きる。
ストーリーを公開した上で楽しめるようなギミックがあるのかと思ったが、
あると言えばあるのかもしれないが、さほどでも無い。
まあ、梅棒の舞台は、ストーリーを楽しむような舞台ではない。
最大の特徴は、セリフ無しでのJ-POPに合わせたダンスによる表現、
ストーリーテリングと言っていいだろう。
このシステムで、重厚なストーリーを演出するのは難しいだろうし。
とはいえ…とはいえだよ?
梅棒の本公演は、あっと驚くような展開があったりと、
ストーリーに引き込まれるものが多かった。
まあ、良く出来てたわけよ。
今回の舞台も、ストーリーを知らなければ、
良く出来てるなーと思ったのかもしれないが…
知った状態で、知らない状態には戻れないわけで…
けど、パンフに記載されてない細かい展開も、
なんか思った通りの事しか起こらないんだよなー。
意外性が無かった。
ちなみにストーリーは、
主人公である寡黙っぽい不器用な荒れ気味の青年とその妹、
若くして他界した母と、それにより荒れてしまった父という、
家族4人の物語。
青年はボクシングと出会い、頑張るが、妹が色々いじめに合ったりなんだりして、
最終的にチャンピオンになり、家族が一つになったりなんだりする話です。
ストーリー自体は、面白いと言っていいだろう。
だが、従来の梅棒本公演とはかなりテイストが違う。
笑いあり涙あり、というよりは、暗めのテイストが漂い、
笑いどころも少ない。
一言で言うなら「渋い」かな。
12月のキャラメルの時は、いつもの本公演のようなテイストを楽しめたので、
この違いは、初見では受け入れ難いものがありましたね。
そういうのもマイナスかなー。
このカラーが分かれば、また今後も楽しめるんだろうけど、
俺はあまりにも、今までの梅棒テイストを期待していたからさー。
この作品、オンライン漫画で全2巻くらいで読みたいなー、って思っちゃった。
なんかそういうのがハマりそう。
ていうか、セリフ有でもいいのかな、って思える瞬間もあったのかもしれない。
上手く言えないけど、そんな感覚。
ちなみに梅棒の舞台は、基本セリフ無しだけど多少はある、
ってパターンが多いのですが、
この舞台は一切セリフ&文字が無かったです。
あえて、なんだろうなー。
〇オープニングダンスなどの演出
ダンス自体は良かったけど、本公演だったら、
それに映像も加わって派手でカッコいい物に仕上がってた。
今回は、映像の類がオープニングだけでなく、公演内で一つもなかった。
まあ、本編はともかく、オープニングでは欲しかった感あるかなー。
チケット代だって、過去の本公演と500円しか変わらないのに、
その500円の差が、この映像のあるなしなのか…?!
また、本公演は、開演の5分くらい前から、ちょっとした小芝居なんかがあって、
いい感じに引き込んでくれるのだが、それも無かった。
まあ、今回の会場は、開演5分くらい前になったら、
自動的に携帯の電波がオフになったので、
携帯オフのアナウンスをする必要が無いってのもあるのかもしれないが。
或いは、ああいうのはいつもの伊藤今人さんならではの演出で、
それを今回の遠山さんがパクるわけにはいかなかったのか。
〇コメミュダンサー
今作は、主要キャストの家族4人と、
サブキャストのボクシングジムの会長と主人公の後輩以外は、
このコメミュダンサー(+その他大勢の役)に割り当てられている。
パンフには「家族の心情、情感を表すダンサー」と書かれており、
ほとんどのシーンでメインキャストの周りで色々踊ってます。
ピヨレボのダークサイド公演でもこういうのあったけど、
梅棒の本公演では見られなかったよね。
ダンスの迫力も素晴らしく、ただ踊るだけでなく、
芝居にも絡んだりと、良かったと思います。
これは独自性としては〇なんじゃないでしょうか。
・布施遼(櫻井竜彦)
今作の主人公で、12月の短編からの続投となる。
常に目が前髪で隠れていて、表情が分からず、ダークな印象が常にある。
バイトが上手くいかないシーンが描かれたのち、
ボクシングと出会ってボクシングに打ち込むが、
現実ならボクシング一本で食っていけるわけもなく、バイトは必要だから、
ボクシングと出会っても結局バイトが上手くいかなくて
苦労してんじゃないかと思ってしまったw
主役の人っていつもあんまり書くことが無いんだけど、とても良かったと思います。
・布施楓華(高見奈央)
主人公の妹。
演じるは、推しである高見さん!!!
前回出演の超ピカイチに続いてメインヒロインを演じるという好待遇。
梅棒に気に入られてるのかな…
そもそも梅棒の舞台って、一度出た人がその後も出るパターンは珍しくはないのだが、
メインキャストに収まるような集客芸能人枠は、
再演で同じ役柄だったw-inds.の千葉さんを除いて、
不思議と1回出たらそれっきりなんだよなー。
あくまで俺の知り得る限りで、過去公演までは知らないが、
2回出るのは高見さんが初めてなんじゃないか?
ちなみに8月の公演では、同じような枠で梅田彩佳さんがまた出るけど。
演技の良し悪しは、よくわかりませんが、十分だったんじゃないでしょうか。
いじめられてるシーンでは、目がキラリと光っていたし、
あの流れでマジで涙出せるなら相当のモノだと思うけど。
光に照らされて赤ちゃん抱えてるシーンは、劇中最高の表情に思えた。
高校でいじめられるシーンと男に騙されるシーンが連続であるんだけど、
あれ、どっちか一つに出来なかったのかなあ。
さすがに見てて辛過ぎたし、初見でもストーリーがネタバレしてるから故に、
「この後この男に裏切られるんだー」とか思って辛かったもんなー。
この男に騙されるってのが、パンフの文章を引用すると
「楓華と恋仲になると淫らな動画を撮り楓華を脅すようになった。」とあり、
一応の濡れ場のようなものもあります。
これは高見さんファンにとっては大きなトピックなんじゃないでしょうか。
いやーラジオが楽しみだw
他にも子供時代のロリっぽい高見さんも見られてなかなか味わい深いw
全員でダンスするようなシーンでは、さすがに足があまりあがって無かった気がしたw
あと、OPダンス、ちょっと少な目じゃない?
結婚式のシーンもあるんだけど、私服にベールを被せただけってのは、
ちょっとなあ…
というのも、過去公演「ウチの親父が最強」では、
しっかりとウエディングドレス着せてて、そこが見せ場になってたからさー。
しかも、その後妊娠して出産を待つソワソワシーンは、
「ウチの親父が最強」とまんまの演出だしさー。
俺も高見さんのウエディングドレス見たかったよ…
いや、もしかしてウエディングドレスNGでもあったのか?
・布施和美(伊藤彩夏)
若くして亡くなる母親役。
死んでからは見守りポジションとなり、度々現実世界にも絡んだりする。
基本見守るだけという難しい役どころながら、
表情と存在感が素晴らしかったと思います。
ダンスでも決めるポーズとかあったりして、なんかやってたのかな?
既視感ある役者名だったけど、
別に元グループアイドルとかそういうわけでも無さそうだし。
俺が見た公演では、階段で滑ってつまづくシーンもあったけど、
そこでの表情のフォローも良かったw
・布施正孝(阿部丈二)
主人公の父。
阿部さんはキャラメルボックスの役者さんで、
主演の櫻井さん同様、12月の短編から同じ役での続投となります。
ちなみに12月の短編では、この阿部さんが主役で、父が老人になって、
昔を振り返るような内容でした。
で、今作は…
この役自体が×だと思う。
母親が死んで荒れた父は、子供に暴力をふるった結果、
子供は施設に預けられ、子供と離れ離れになってしまう。
そうなると、子供との物理的距離感が良く分からない感じなんだよなー。
父が子供達を見守るようなシーンがあるんだけど、
父がどこに住んでるのか、子供達の近くなのかなんなのかも分からないし、
そもそも見守りポジションは、亡くなった母がいるから、
見守りポジションが2人になっちゃうのよ!!!
これは×でしょう。
母は、見守ってる父を見守ってる感じになっちゃってるし…
存在感もイマイチで、メインキャストながら、
サブキャストの後輩より番手少ないんじゃないかな?
という印象。
ただ、阿部さん自体の演技は素晴らしく、表情とか良かったし、
12月の公演からの懐かしさ、繋がりみたいなのも感じられた。
あーまたあの短編見直したいよ…
この公演を踏まえて。
〇ヒロシ(後藤健流)
主人公の後輩的存在。
主人公が陰なら、陽の存在で、一緒にボクシングしたり、
妹に恋したり最終的に結婚したりと、ストーリーにも大きく絡む重要な存在。
AV男優でいったら一徹くん+奥村さんって感じの、
若くてちょっとカワイイイケメンって感じで、
ポジション的にもいい感じで好感が持てる。
演じる後藤さんは、ハイキュー!!の舞台に出てるような役者さんで、
自分で振付とか出来る形の役者さんなのね。
〇会長(正安寺悠造)
ボクシングジム会長。
これがめっちゃくちゃ良かった!!!
一番好きかもしれん。
多分俺は、マンガ的なキャラクターが好きなんだろう。
ボクシングジムの会長という役柄は、どこかのマンガで見たような既視感もありつつ、
オリジナリティもありつつ。
ヒゲ、コート、ハット、ステッキといった分かりやすいキャラ付けのような衣装、
肩をすくめるような仕草、表情、最初に指導する時の挑発的な感じとか、
めっちゃ良かったわー。
杖をついてるようなキャラなのに、ダンスのシーンではしっかり踊るしさー。
また、会長という役が登場するまでは、スーパーの店長や運送会社の社員などの
その他大勢役でも登場。
特に酔った上司の謎の古武術の動きがめっちゃ良かったwwwww
〇美大生/ブライアン鷹/他(YOH UENO)
その他大勢を演じる役者さんの中で、
一番重要な役どころを与えられてるのがYOHさん。
美大生は、登場時はそんな風には全然見えないのに、実はワルと繋がってて、
高見さんこと妹を脅す役どころ。
なんでもっと分かりやすいヤンキーみたいなのにしなかったのか…
高見さんだって、学校イチのヤンキーと付き合ってたらしいじゃないかw
ブライアン鷹は、ボクシングのチャンピオンで、
クライマックスで主人公と対戦する重要な役。
その他大勢を演じる役の中で、重要度の高いこの2役を、何故同じ役者にしたのか…
まあ、眼鏡や服装等の小物で、同じ人には見えないけれども!
〇鶴野輝一
その他大勢を一番演じてるじゃないか?って位色々やってる。
何故か髪型がアフロで「その他大勢をいっぱい演じるのに、アフロってどうなの?」とか
思っていましたが、見てると全く気にならない。
早替えのシーンも多いけど、凄いなーと。
ボクシングの試合のシーンは4つあるのですが、
1つは前述のブライアン鷹で、それ以外は全員この鶴野さんのアフロボクサー。
ボクサーのバリエーションはもっと欲しかったなー。
なんで鶴野さんだけにやらせたんだ…
ちなみにツイキャス情報によると、アフロにしたのは遠山さんの演出で、
鶴野さんもなんでアフロなのか分からないそうですw
〇五十嵐結也
鶴野さん並にその他大勢役をやっていた方。
これまた特徴的な顔をしているのですが、やはり鶴野さん同等、あまり気にならない。
彼の雰囲気から出ている、いい感じの味が、
そのままその他大勢役でも楽しめた感はあります。
看守役が一番印象的かなー。
〇南かな他/女子高生かな/他(稲葉麻由子)
なんとも説明が難しいというか、ニュアンスを伝えるのが難しい役が、南かな多。
冒頭に出てくる、なんだか色気の漂う女性で、
主人公は見とれている。
キスしたい感じ。
そんな気持ちを亡き母にツッコまれる。
そんな役割。
この作品は、シリアス路線でそんなにギャグも無い。
そんな中、このキャラは、唯一ギャグを引き出すためのキャラだ。
それが妙に浮いて見えて、最初見た時は違和感だった。
だが、2回目見た時は、
結局彼女の存在がクライマックスでの試合の面白ギミックの一つになってたし、
失恋オチも良かったから、これはこれでアリだなーという気持ちになりました。
後半に出て、虫に刺される?みたいなシーンがあるのだが、
あれはアドリブかな?
2回とも印象が違って見えたが…
あのシーンも良く分からなかったなー。
少しは分かったけど。
あと、妹をいじめる女子高生3人組の一人としても出るのだが、
その時のビジュアルがめっちゃ可愛かった!
3人組自体も非常にテンポ良い動きをしてて、でもやってる事は心苦しくて…
って感じが良かった。
〇くちびる
バンプの項にも書きましたが、唯一印象に残った曲。
いい曲と言うわけでは無い。
冒頭、前述の南かな他を意識するシーンで流れます。
一番最初に流れる曲で、事前に全曲バンプと聞いていたのに、
明らかにバンプではない感じの曲で、
「あ、最初はセットリスト外の、舞台のために作られた自作曲なのかな」
と思ってました。
だって、曲調がバンプではないってだけでなく、
ボーカルは複数人で明らかに上手い感じではないし、バンプの人の声にも聞こえないし、
歌詞も
「逆さに言えば るびちくちびる…にゃお~」と、適当感半端ないし、
なんじゃこりゃって感じだったもん。
まさかこういう曲があるのか~っていう勉強にはなったねw
〇コロナ対応、客席
この舞台の公演期間は、5/9~5/16だったのですが、
緊急事態宣言が5/11まで出たので、そこまでの公演は中止に。
俺も行く予定の公演が中止になって、
返金手続き+2回は見たいので買い増しさせられるハメに。
まあしょうがないけど、中止になったチケットは、
その後のおしゃれ紳士との舞台含めて一番席が良かったので、残念でしたね。
平日と土曜と行ってきたわけですが、
平日は前は埋まってて後ろは空いてる、
キャラメルボックスのコラボ公演みたいな客入りだったかな。
土曜は満遍なく埋まっていたように思います。
ちなみに平日はスタンディングオベーションありましたが、
土曜の時はスタンディングオベーションが無くて驚きました。
梅棒公演ではまあ大体あるからねー。
ただ、それが一つの答えでもあるのかな。
なんか、足取りを重くさせるヘビーさもある内容だったし。
俺も1回目(平日)は期待外れ感が強くてアレだったけど、
2回目(土曜)の方がスタンディングオベーションしたい気持ちになったかな。