5/30 六本木俳優座劇場『a Novel 文書く show』:演劇集団Z-Lion

http://www.z-lion.net/next.html



全然知らない団体ですが、僕の一応の推しメンである高見奈央
出る、というだけで観に行きました。
彼女の舞台デビューは梅棒だったわけですが、
あれはセリフの無い舞台。
今回は初のセリフ有舞台という事で、どんな芝居をするのか、
というモチベだけで観に行きました。

出演者は高見さん以外だと、ほっしゃん。こと星田さんしかしりません。



会場は六本木にある俳優座劇場。
左側4列目で観賞。



〇ストーリー

売れない若手小説家。
編集の不思議な力によって、自分が主役の書きかけの小説の中に入り込んでしまう。

その小説の中は、現実の奥さんにはない能力をもった奥さんが3人
(一夫多妻制、ってかハーレムモノのラノベか?w)、
現実とは違う、陽気な父親、楽しい工場の仲間、現実世界で亡くなった姉など、
楽しい世界が広がっている。
そこでの諸々。現実世界のリンク、そこでの家族の交流など。
家族の在り方みたいなのを感じさせる作品。



笑いあり涙ありの舞台ですが、トータルでは涙のウェイト高めかな。
分かりやすく面白い。
「そこ、そんなに説明するんだ」と感じるほどの分かりやすさも時にある。
いかにも演劇らしい台詞回しもあったりと、ある種の安心感や安定感もある。


自分の書いてる小説の中に入るというファンタジー作品。
そこにリアリティーを求めるのはナンセンスだとは思うが、
それでも気になる箇所はある。



・現実と小説間を行き来するという編集の能力が使い放題

普通こういう能力って、使用に制限あるんじゃないの?
命が削られていくとかなんとか。
主人公とは付き合いの長い編集が、最終手段とか言いながら初めて使って、
一度使ったら使いまくりとはどういうこっちゃ。


結局現実と小説の中を2~3往復するんだが、
初めて小説の中に入って現実に戻って来た時、
すぐまた小説の中に入っちゃう。
そこのシーンの短さも気になったなー。




・編集が小説の中の小説に「工場がつぶれる」などのネガティブな内容を、軽いノリで書く

小説の世界で、小説に書きこむと、その事が小説内に反映される。
ただし、書いた内容は書き換えられない、というルールがあるようだ。

そんなルールがあるなら、慎重になるべきなのに、
軽々しく「工場がつぶれる」と書きこんでしまう。

もちろん、編集の立場だから、作品を面白くするために、
そういう事を書きこんだとも考えられる。
だが、主人公が親父や工場を大切にしているのも分かっているのに、
そういう事を軽々しく、無許可で書くのはおかしい。
本当にただのビジネスパートナーとしか思ってないのか?
その辺の冷酷な描写があるわけでもないし、違和感なんだよなー。




・現実の父が小説の中に入ってくる

現実と小説を行き来しているのは、主人公とその奥さんと編集の3人だ。
なのに、クライマックスで、現実世界の父親が小説にやってきて、
亡くなったはずの姉と会って…
非常に涙を誘う、泣き所がいくつかある作品の中で、一番泣けるシーン。
まさにクライマックス。
俺も一番ウルっときた。


だが…現実の父親が小説の世界に来た意味が分からない。
編集が連れてきたようだが、誰でも行き来出来たのか?
そうだったとして、何故現実の父親を編集が連れてきたんだ?
その説明が一切無い。

確かに泣けた。
だが、ずるい、やりすぎとも思った。



・一度ケンカして家を出ていった奥さんが、
外から戻ってくる時、何故か家の中での会話を把握して戻ってくるw





とにかく、都合が良すぎる。
エンタメを追求するためにリアリティーを無視するのもわかる。
だが、やりすぎ、過剰。
そこまでして面白くしたいか?
それに、多分ピヨレボだったら、こういう違和感を払拭した上で
エンタメ出来ると思う。
辻褄合わせる事は出来るはず。
やろうと思えば出来る事を何故やらない?
そういう感想を持った。




高見奈央

我らが高見さんは、小説の中にいる3人の奥さんのうちの一人。
料理が得意な品の良い奥さん。
特に違和感は無かったし、良かったと思います。
「あー高見さんだなー」って感じ。
ただ、「料理が得意な品の良い奥さん」でキャスティングしようと思った時に、
高見さんを選ぶかね…w
どういう意図なんだろう。

この日はカーテンコールの挨拶も担当。
指名されても慌てること無く、固めのきっちりした挨拶をしてたので、
事前に言われてたんだろうか。
なんにしても、お得感。




星田英利

主人公の父親役。
これが素晴らしい。

やはり芸人というイメージから、明るい役を想像していたら、
無口で厳しい父親役。
この感じがすげーいい。
何と言っていいのか分からないけど、動きやセリフの間というか、
髪の感じとか、あらゆる雰囲気で、無口で厳しい父親像を構築している。


かと思えば、小説内では陽気な父親。
この2パターンを何度も楽しめるのは、この作品の良さの一つと言えるでしょう。

カーテンコールでは、積極的に高見さんを始めとした他の面々に絡んで、
くだけた雰囲気作りに一役買ってました。






楠田亜衣奈

全く知らない人
(というか、これ以降の人は、全員全く知らない人です)。

なんか元℃の岡井ちゃんに似てたので、
勝手にハロプロかどこかの元アイドルだと思って見ていたが、
今ググったら、ラブライブ!に出てる声優との事。
字面すら知らないのに、割と豪華な作家陣でアルバム5枚も出してる事に驚いたw
ついていけなくなってるなー。


作中では、小説の世界の中の、3人の奥さんの一人。
芸人をやっていて、ちょいちょい作中でネタを披露するのだが、
全く面白くない(舞台上ではウケてるw)。




〇校條拳太朗

全く知らない人だが、おそらく2.5次元系の人気俳優なのだろう。

何故そう思ったか?

彼は前述の芸人役の楠田さんの相方。
2人でタンバリン漫才なるものを披露するわけだが…
彼がコミカルな役で登場しただけで会場の女性が笑っている。
普通の人がしていたら、特に面白くもないシーンで、だ。
ということは「あの〇〇くんがこんなコミカルな事してるわ」的な笑いだろう。
そういう人気は、2.5次元系の人気俳優だからだろうw


そういう笑いが起きると、イマイチ内容に集中できない…
まあ、それに関しては俺が悪いのかもしれないが。
面白いシーンで笑いが起きるならいいが、
たいして面白くもないシーンで笑いが起きると、何が何やら、って感じです。

ちなみに、これで「めんじょうけんたろう」と読むそうですw
かっこいー!




西銘駿

主役の売れない小説家。

仮面ライダーで主役とかやってる人なのね。
これは知ってる人にはかなり豪華なキャスティングでしょうね。
個人的には、ノーコン・キッドの主役の人に似てた。
両方とも、冴えない感じのある役どころだからさー。
そういうテイストが良かったです。




小島藤子

主役の奥さん。

これがめちゃくちゃ良かったなー。
絶妙の可愛さ。
服装がいいんだよね。
生活感と親近感が混在して、加えて可愛さもあって、羨ましくなる。
「なんでこんな収入があまりないであろう小説家に、
こんな可愛い奥さんいるんだ!」ってw
序盤の旦那とのラブラブのやり取りも、距離が近くてクゥー!ってなるw




上野なつひ

主役の姉。
現実世界では死んでいる。
そのため、驚きのリアクションを主人公や父親から受けるのですが、
いい芝居してたと思うなー。
普段のちゃきちゃきした感じも非常に好感が持てます。
個人的には、アンミカに似てたw
いや、なんつーか、ちゃきちゃき具合が。




上西恵

3人いる小説の中の奥さんのうちの一人。
調べたらNMBの元メンバーで、活動休止してて、
再開して一発目の大きな仕事がコレのようだ。
女優志望らしいが、個人的にはあんまり…かな。
もうちょっと声大きい方がいい気がした。




〇伊崎龍次郎

工場で働くアジア(ベトナム?)系外国労働者を演じる。
カタコトの日本語で笑いを誘うのだが、このカタコト、元ネタあるよね?
それが何なのかが思い出せない…

軽くググったけど、この人も2.5次元系の人かな。





〇セット

基本的にワンシチュエーションしかないので、
かなりしっかりと作り込まれてる。
特に蛇口から水が出たのが驚いた。
どうなってんだろ?




〇カーテンコール後

普通カーテンコールが終わったら、退場、場合によってはまた出てきて…
となるのですが、この舞台では、カーテンコール後に、また一芝居あるのよ。
これは新しさを感じました。
当然全員壇上にあがった状態での、
エンディングにふさわしい多幸感溢れるものとなっており、
演出としてもなかなか良いんじゃないでしょうか。
カーテンコールで素になってからの、また入り込む感じは、違和感もなくは無いけど。




〇あとがき

この劇団は、舞台のその後を、
A4の紙にして渡してくれるのが恒例になってるようです。
これもファンサービスとしては、とてもいいと思います。
内容は、なんか蛇足感あるっていうか、突拍子もない感じだったけどw
舞台ってそんなもんなのかもなw




〇花輪

大体劇場には、役者あての花輪が飾られているのですが、
この劇場は禁止なのかな?
代わりに木の立て札みたいなのが貼られてました。


そんなところかなー。
面白かったけど、6800円の価値があるかというと…
5000円以下で見たかったかなw

確かに後から調べたら、役者は豪華だった。
この値段に見合う豪華さかもしれない。
ただ、俺は事前には高見さんと星田さんしか知らなかった。
だから、その豪華さの恩恵を受けられなかった。


内容も面白かったけど、ちょっと都合良すぎたし、
「舞台らしさ」というのが良い方向にも悪い方向にも
目立ってたような気がする。
なんとなくだけどw