9/6 博品館劇場・9/20 新国立劇場 小劇場「ウチの親父が最強」:梅棒

まだ地方公演がありますが、
思いっきりネタバレしております。

https://www.umebou-extra.com/




梅棒の公演を見るのは、8回公演「Shuttered Guy」
9回公演「超ピカイチ!」に次いで3回目。
これは10回公演…かと思いきや、
何故か「梅棒EXTRAシリーズ」と銘打たれていて、
10回公演ではありません。
じゃあ、通常公演と何が違うか…と言われると、俺には分かりません。
過去2回公演と比べると、ゲストの数も少なく、
前回のw-inds.千葉涼平みたいな、一般人にも分かる大物ゲストがおらず、
会場もグローブ座から博品館劇場(新国立劇場 小劇場)と狭くなっています。
この規模の縮小感がEXTRAって事なのでしょうか?
その割には、既に発表されてる10回公演は、
ゲスト無しの梅棒メンバーのみで公演することが発表されており、
規模はさらに小さくなるようですが…?


なお、今回の公演は、梅棒の第二回公演の再演となります。
再演=EXTRAという事はありません
(9回公演の「超ピカイチ!」が再演だから)。



感想としては、確かに面白かったですが…
過去2回と比べると、規模の小ささが、そのままこじんまりした印象を与えました。
個人的に登場人物の多い舞台は嫌いですが、
梅棒は、登場人物の減少=魅力的なキャラクターの減少に繋がり、
ダンスのバリエーションの減少にも繋がります。

また、俺自身3回目(+やついフェス)という事で、
上西さんの鉄棒を使ったダンスや、セクシーなシーンの展開に「慣れ」が出来て、
新鮮味が薄れてる、というのもあるでしょう。
梅棒の公演の「お約束」というか「安定」のようなものが見えてきて、
耐性が出来てしまった感じかな。


「超ピカイチ!」だと、クライマックスでボスキャラが二回から吹っ飛ばされる、
っていうのが、動きの上での大ネタだし、
「Shuttered Guy」だとホントに水ぶっかけたり、大がかりなセットの転換だったり、
おおっ!と思わせる大きな動きが無かったのも、
こじんまり感を助長させてる。
「超ピカイチ!」であった、時計や雨天のシーンのような、
プロジェクションマッピングみたいな照明みたいなやつによる
効果が凄いやつもあまりなかったし。




ついでに言うと、音楽もちょっと…
これは俺の音楽の好みになっちゃうのですが、印象的な楽曲はあるが、
印象的かつ、いい曲が無い。
第二回公演という事で、直近の公演よりも、
ベタでメジャーな楽曲を多めにチョイスしているのかもしれません
(いくつかは初演時より曲が変わってるみたいですが…)
それはそれで正解だしアリなんだけど、何気に「超ピカイチ!」で出会った楽曲が、
結構いい音楽の発掘の場になっていたので、そういうのを期待してしまってましたw



過去2回と比べると、8回公演「Shuttered Guy」に近いかな。
「Shuttered Guy」が、商店街と悪者軍団とのバトルになってたのが、
今回は、家族と悪者軍団とのバトルに置き換わってた感じ。
悪者軍団が登場する前に、商店街及び家族の日常を丁寧に描くのも共通。
今回公演を見て思ったのは、「Shuttered Guy」に、「ウチの親父が最強」の
オマージュ的なシーンがあったのではないか?と思うようなシーンもありました。



ただ、最後の3シーンくらいで、評価がかなり変わりました。
悪者軍団を倒して終わり…かと思いきや、そうではなかった。
家族側の娘さんと、悪者軍団のイケメンが恋仲になっているのですが、
そこからの結婚や出産などのシーンが丁寧に描かれ、
さらにはそれが冒頭の旦那と奥さんとの出産や結婚申込シーンと重ねて描かれ、
この作品のテーマである「家族」の描写に見事にスポットが当たって、
爽やかな感動と多幸感に包まれます。
特に結婚を申し込むシーンは、梅棒の有名な短編ダンス動画で
「パパ、I LOVE YOU」というのがあるのですが、




そこのシーンのネタがかなり使われています(曲も同じ)。
パンフレットには、今回の舞台が、「パパ、I LOVE YOU」を膨らます形で作られた、
との記載もあります。
作品のテーマである「家族」というものを、強く感じさせる構成になってる。
とはいえ、「家族の在り方を考える」みたいな、深いものではないけどw
この感覚は、過去の2作品にない、良い特徴だと思いました。


Legend Tokyo Chapter.3 Legend GUEST | 梅棒-Umebou- | title "Dad, I love you"




タイトルの「ウチの親父が最強」ですが、
思ってたほど、最強の描写は感じられなかった。
「Shuttered Guy」の方が、親父最強的描写が強かったような…
ただ、メインの親父の他に、親父の義父、そして、娘の恋人が最終的に父になるという、
三代に渡る家族の形こそが最強、というニュアンスかもしれません。
でも俺は、普通に肉体的な強さというか、攻撃的な強さの親父が見たかったぞw



…というのが、博品館劇場で最初に観た感想。
新国立劇場で二回目を観て、また印象が変わりました。

1回目は、主にストーリーをメインで追っていく。
そういった中で、スケールダウンをはじめとしたネガティブな印象もあったが、
あらかじめストーリーが入った状態で見ると、色々な気持ち良さに気づくのよ。

曲の展開に合わせた動き、ライティング、メインじゃない人の動きとか、
色々な所に気が付いて、それが気持ち良かったり、
良く出来ていたりで、感動してしまう。
そしてラストシーンの多幸感…終わってしまう事が分かっているからこそ、
終わる事への寂しさが募る、愛すべきキャラクター達…
俺の中の最高傑作でもある、前回公演「超ピカイチ!」でも感じた感動や寂しさが、
この作品にもあった。
やっぱ梅棒スゲエ。
マジ最高。
そう思えた。
めっちゃエモーショナル。
それに勝るものはありません。





ネットの感想見たら、初演とはかなり変わってるみたいね。
曲とかも結構変わってるみたいだし。
「ピカイチ!」と「超ピカイチ!(全日制)」は、それほど変わってないっぽい
印象だったので、驚きました。






〇一文字(多和田任益)

今回一番印象に残った役者。
理由はただ一つ。
めちゃくちゃイケメン!!!
悪者軍団の一員でありながら、家族側の娘と恋仲になる、重要な役どころを好演。
検索してみたら、普段の様子ももちろんカッコいいのだが、
やはり舞台上のあの格好+顔つきがあってのカッコよさだなあと思いました。
何やらウィダーインゼリーみたいなのをよく飲んでるのですが、
どうやらご本人がCMで出演しているヘパリーゼのゼリーだそうでw


今作はヒロインに相当するであろう、一文字の恋人役が、
アラレちゃんみたいなでっかいメガネをかけてて、美人キャラに描かれてない事もあり、
作中の実質ヒロインじゃないか?っていう位、目を奪われるビジュアルをしてました。





〇あられ(横山結衣/永洞奏瑠美)

前述の一文字の恋人役(といっても、ほぼあられの一方通行のような描写)。
作中で唯一、女性キャストの演じる女性です。
子供バージョンと青年バージョンでキャストが違います。
子供の時と青年(高校生?)で役年齢はあまり変わらず(1年違い?)、
やろうと思えば一役でも良さそうなもんだが、
豪華に2役使う事で、子供バージョンの子供らしい可愛らしさと、
青年バージョンの恋する女性の立ち振る舞い等々を
存分に楽しめます。



子供バージョンの永洞さんは、今年4月から芸能活動を始めたばかりで、
今回が初舞台なんだとか。
子供っぽいのびのびとした感じに感情移入すること間違いなし。
中二という若さも見どころ。
当然ながら後半は出番が少ないので、入れ替わってしまうのが残念に思えるほど。
パンフ情報の、兄がゲームでアジア優勝経験あるってのが気になるw


青年バージョンの横山さんは、公演期間中にスキャンダルに見舞われましたが、
降板などはしない模様。
前述の通りのアラレちゃんメガネですが、最後の最後で花嫁姿になるのが、
今までのアラレちゃんがフリのような役割を果たして、
うおおおめっちゃ綺麗だー感動!!!
みたいになります。
ホントあのラスト2シーンの神々しい感じは、過去作には無い良さでしょう。

…っていうか、アラレちゃんメガネで、役名があられって事に、
書いてて今気付いたw




〇しぐれ(野田裕貴)

前述のあられの双子の兄(多分、弟っぽくはない)。
クライマックスでおじいちゃんと犬が抱き合ったり、
感動の再会のシーンで、一人でエロ本と感動の再会してるところが
すげー笑ったなーwww
ああいう作りが上手いんだよなー。




〇お七(梅澤裕介)

悪者軍団のボスの女みたいな役。
あられ以外のキャストは男性…っていう事で、当然女装です…が、
めっちゃ綺麗!
しかも、途中『夜桜お七』に合わせて、妖しく舞い踊るシーンがあり、
それがまた女性以上に女性らしく綺麗に踊るのよ。
なんなんだよw




〇五十嵐晴美(伊藤今人)

主人公である「父」の奥さん。
つまりは「母」
母は強し、って事で、こちらは先ほどのお七とは違って、
ゴリラ系です。
まあ、今人さんだから…
初登場時も、いきなり出オチ感。

特筆すべきは『サウダージ』。
梅棒の作品は、数々のJ-POPをBGMに進行していくわけですが、
サウダージ』の時だけ、今人さんの生歌www
これには笑いましたw
しかも『サウダージ』って、覚えやすいメロディーとは裏腹に、
歌うとまあ難しいんだけど、見事に歌いこなしてるだけでなく、
ちゃんと母としての、女性のテイストが感じられる歌声で歌ってるんだよなあ…w


途中で、ネギを吹き矢のように吹くシーンがあるんだけど、
あれ、どういう風になってるのか、2回目に注力して見てたけど、
結局分からなかったなあ…




〇六車雲水(上西隆史)

前述の「母」の「父」。
主人公からすると義父である祖父。
上西さんと言えば、のロボットダンスは、悲しみの表現として使われ、
初回はちょっと戸惑ったかもw
鉄棒のパフォーマンスは、バトルのクライマックスで。
この辺もお馴染み感ありますね。




〇キリ(パイレーツオブマチョビアン)

飼い犬。
2回目に見た時、投げた骨を拾うシーンで、
本来セットの外に骨を投げて、拾いに行ってエロ本を拾ってくる、
というシーンで、骨が外まで行かずに、
骨を何度か拾いながらハケていったのが面白かったですw




〇萬田(遠山晶司)

バーのマスター、というのがメインの役どころらしいが…
基本的には唯一のアンサンブルみたいな存在。
他の出演者も、看護婦役だったり、子供あられのクラスメートだったりと、
メインの役とは違う役をやるシーンもありますが、
遠山さんだけ、その数が半端じゃないです。
というか、その他のチョイ役を一手に引き受けてると言ってもいいでしょう。
医者、クリスマスの店員、クレープ屋の店員、変質者etc...
特に変質者は意外と出番が多く(バーのマスター以上ある!?)、
クライマックスでも悪者軍団と一緒になってお好み焼きにされてるのに、
2回目になって気づきましたw
なんでも13役もやってるとか!!!





〇印象に残った曲

・飯はなるべく一緒に食う/DJ TY-KOH&YOUNG HASTLE


飯はなるべく一緒に食う (feat. KOWICHI & TY¥ SIGN)



今作で一番印象に残った曲と言えば、文句無くこれでしょうwww
あまりにハマりすぎてるというか、セリフ的な楽曲だから、
梅棒のオリジナルかと思ったら、違うっぽいんだよなあ…
この動画の再生回数からすると、さほど有名ではないようだが、
インスタだとハッシュタグで100件以上はあったから、
一部では知られた曲なんだろうか…

終盤で、「飯はなるべく一緒に食う」の意味が、
ごはんとおかずを一緒に食う、という意味への変形が素晴らしかったですww




・めくるめく世界/野田裕貴

梅棒オリジナルソング。
だが、言われないと分からない。
無駄にクオリティが高い上に、
エロ本を拾ってあれこれするシーンで使われるのだが、
曲自体はそんなテイストが全く無い。
なのに、うまい具合にハマってるんだよなー。
初演の時は、もっと違う使われ方というか、
正統派な使われ方してたのかな?




彼と一緒にお店がしたい!/モーニング娘。


morning musume - 彼と一緒にお店がしたい (HD)



一文字とあられのデートシーンで使われる曲。
2番に「ほんのちょっぴり髪型変だけど」みたいな歌詞があるんだけど、
そのタイミングで一文字の髪型が変になるのが凄い。
2回目に見た時も完全に忘れてて、
どういうタイミングで髪型が変になってるのか気になる…





〇開演前

梅棒ではお馴染みと言っていいでしょう。
開演10~15分前くらいから、バーのマスターが無言で掃除したり、仕事したり。
2~3分前から、バーの客(本編の息子の成長した姿)がやってきて、
マスターとのやり取りで世界に引き込みつつ、スマホの電源オフや、飲食禁止などの
注意事項をしていきます。
最初に観た時の方が、諸注意に入るまでのやり取りが長かった気がしたけど、
気のせいかな…
すぐに諸注意を言ったら味気ないけど、この長さがあって、
本題の諸注意の事など忘れる位、自然と作品に入り込める感じが良かった。
2回目は、分かっているからこそ短く感じてしまったのかも。

終わりの方で、マスターがシェーカーをあらぬ方向に投げるシーンがあるのですが、
1回目は前の方、2回目は後ろに投げてセットの天井にぶつかってましたw




〇オープニング

客演の方々がソロで踊って、
客演5人が一緒に踊って、
次に梅棒がソロ→一緒に踊る。
この流れはお馴染みなのかな?
過去二回は、もっと客演が多かったし、
メイン客演と普通の客演で分かれてたと思うし、
あんま良く分からなかった。

この時、客演は役の衣装で踊るんだけど、
梅棒は共通の特別な煌びやかな衣装で踊るんだよね。
これもお馴染みなんだろうけど、
俺としては、役の衣装で踊って欲しいって気持ちがあって…
最初に役の衣装で個別で踊ってから、最後に全員で梅棒衣装で踊ってくれないかなw
衣装が無いと、誰が誰なのか分からないのでw




〇電車

確か2シーンほどあったと思うんだけど、
役者の動きだけで、そこに電車が無いのに、電車内を表現してるのが凄かったなー。
斜めの動きとか、スピード感とか、
「あー電車だー」ってのが瞬時に分かるのがさすがすぎました。





そんなところかなー。
やっぱり梅棒は凄いです。
何度でも見たくなる気持ちもわかる。
愛すべき世界がそこにあります。

ネットでの評判もいいし、やっぱり他人に勧めたくなる、是非体感してほしい、
という作品の力もしっかりあります。
素直に最高と思える面白さがあります。
ただ…最高であると同時に、
超ピカイチ!>Shuttered Guy>ウチの親父が最強
という序列も変わりません。

とはいえ、人によっては「ウチの親父が最強」が一番いい!
という人もいるでしょう。
そういう選択も十分にあり得る、梅棒ならではの外さない良作なのは間違いないです。