4/26昼 シアターノルン 『Gliese』:ピヨピヨレボリューション

http://blog.piyopiyorevolution.com/p/next-stage.html



〇ストーリー

分かりやすくて面白い。
しかし…深くはないし、メッセージ性とか主張とかは感じられなかった。

雑誌のモデルをテーマにした話で、右手自身もモデル上がりだから、
もっとなんか深いモノを見せてくれるのではないか…という期待もあったが、
そうではなかった。

まあ、分かりやすくて面白い、これに越したことは無いし、
十分ではあるんだけど、なんでこれを今舞台でやろうと思ったのか?
って位、よくあるというか、目新しさがないというか、
どっかで見たような聞いたような感じなんだよなー。




あと、途中で宇宙(の惑星)が舞台になるんだけど、
これがあんまり意味ない、というか、いらなかったと思う。
少なくとも、ヒキに使ってはいけない。

http://www.gliese.xyz/

このサイトの文章を見てもらえばわかると思うけど、
宇宙がヒキになってるんだよ。
これを読んで
「一体どうなっちゃうんだ?もしかして雑誌のモデルとか全然関係なくて、
宇宙で広がるスペクタクルな冒険浪漫なのか?」
とか色々膨らむわけなんだけど、
普通に宇宙で雑誌の撮影、という、地球と同じことをする。

で、なんで宇宙か、というと、ライバルのモデルが整形してて、
その整形が惑星Gliseの細胞を使ってた、っていう事だけなんだよなー。
だったら、事務所の社長がメイキャッパーばりの神メイクの持ち主だったとか、
なんか魔法が使えたとか、そんなんでいいと思うんだよなー。
何で宇宙という壮大なスケールを連想させるものを使っちゃったのか…
ちょいちょいかかるデジタル調のインストが宇宙感出してたけど、
それくらいしか意味無かったなー。




〇クライマックス

このお話は、すげー雑に4つに分けると


① イントロ〜オーディションの諸々

② 最初の撮影

③ 撮影後、飲み屋、ゲストコーナーの諸々

④ ライバルのモデルの正体〜エピローグ


当然④のモデルのくだりがクライマックスになるわけだが、
これがなー、物足りないというか…


ここをクライマックスにするには、もっとライバルモデルとのやりとりが欲しいと思う。
結局、主役とライバルモデルとのやり取りって②のシーンしかないのよ。
飲み屋のシーンでモデルの心理描写があるけど、
主役と直接やり取りしてるわけじゃないし。


ここをクライマックスにするなら、②があって、
③あたりにちょっと撮影に慣れてきた、或いは人気が出てきた主役と
ライバルがバチバチするシーンが欲しいなー。
結局、ライバルの存在感が弱いから、④のクライマックスが弱いんだよなー。



或いは、俺が実際に観劇しながら、思い描いていたストーリーはこうだ。

④のライバルモデルのくだりがあった後に、
主役がトップモデルになるまでの成長過程、
或いはトップモデルになってからの苦悩を乗り越え云々…という、
「主役がモデルとどう向き合うか」みたいなところを
クライマックスに持ってくるのかなー、と思った。
だって、ライバルの描写が弱いから。


けど、実際のオチは、主役はトップモデルを目指すどころか、
得意の妄想力を生かして、あっさりモデルをやめて
漫画家だか小説家だかになるというスカし具合www
この辺も右手ワールドなのかもしれないが…

まあ、作品の分かりやすさや、あえてのテーマを設けない事も含めて、
そこまで考えずに、気軽に気楽に楽しめる、というのがコンセプトなんでしょう。

あと、この作品、本編70分+休憩10分+お楽しみ企画30分、
という変なタイムテーブルなんですよね。
なんだよお楽しみ企画って!そんなんいいから本編長くしろよ!
本編70分って短くね?
とか観る前に思っていたのですが…
前述のクライマックスのひっかかりを思うと、
もっと長かったら、いいクライマックスになったのかなー、と思わずにはいられません。



〇歌とダンス

http://www.piyopiyorevolution.com/about.html

こちらのリンクを見てもらえばわかると思うんだけど、
歌もダンスもやりますよ、と、そういう舞台なんですよ、と。
これがいい感じのエンタメ性を出していた。
これも「分かりやすさ」に繋がってるかな。
ミュージカルとの違いは分からないが、
そういう表記をしてないから、ミュージカルではないみたいだけど。



けど、冒頭にフリのレクチャーするんだけど、正直いらないかなあ…
歌のシーンでフリしてると、フリに集中しちゃって、演者の歌や芝居に集中できない。
こうやって参加させるってのは向こうの意図だろうから、しょうがないけど…
あと、この舞台って、一か月のロングラン公演で、
その後半というか終盤に見に行ってるのに、
教え方があんまり上手くないw
くしゃっくしゃ♪の閉じる、開くが、手のひらなのか、腕そのものなのか分かりにくいよ!
ブラッシュアップしていかないとw



〇クドい芝居
最初の方は「クドい芝居するなー」と思ってみてたけど、
思えば演劇って大体そういうものだったなー、という気にもなった。
20〜30分くらいしたら、慣れて気にならなくなったし。
思えば、主役の人がクドかったのかなー。






〇キャスト・役


東理紗
そんなクドさの元凶でもあった主役の子。
クドくもある表情の変化が面白く、まあ〜芸達者だなー、と。
最初はたいして可愛くないなー、と思ったけど、
見れば見るほどハマっていく良さがあり、
1年後になると、しっかりメイクも強化されて綺麗になってたのが良かった。
あと、妄想と会話する、ってのがクドかった原因かもしれないw



・原田康正
多分、今作イチバンの「美味しい役」だと思う。
いわゆる「敵役」の女社長に立て付き、
主役をモデルとしてプッシュする。
「完璧な顔より親しみやすい顔」みたいな思考は、
俺を含めて多くの人の共感を呼ぶ考えだと思うし。
今作は女性出演者が圧倒的多い中、
数少ない男性、というのもいい締まり方。
外見、雰囲気ともに良く、出演させるだけで何か嬉しくなってしまう、
そんなキャラクターだった。
某メタル系の歌の時にエアドラムしてるのは良かったなー!!!



・東ノエル
綺麗ではないが親近感のあるモデル(東理紗)に憧れるファン第一号、
という役柄なのだが、これが絶妙。
絶妙のルックス、絶妙の子供っぽさ、絶妙の歌唱力…
いい感じでの未完成の魅力が出てるんだよなー。
ところがこの子、主役の東理沙の妹らしい…のはいいんだけど、
年齢がなんと10歳なんだとか!!!?!
俺の想定では16歳くらい…役者なんてわっかんねーから、
20代前半もあるかと思ったのに…
そもそも10歳が素人の劇団とかではない芸能絡みの舞台に
出る、という発想すらなかったからさーw
10歳は「絶妙の子供っぽさ」ではないよwwww
もうまんま、っていうか…アウトー!まであるw



・流石可憐/山崎未来・真嶋一歌
ライバルモデルのすっぴんとメイク後(厳密には違うが)、それぞれに役者がいます。
で、この二人、顔が似てるんだよなー。
いや、同じ人なんだから当然なんだけど、
世の中にはすっぴんとメイク後が別人、ってパターンもいくらでもあるじゃん。
だったら、思い切って、
もっと違った不細工顔の人をキャスティングしても良かったんじゃあ…
宇宙細胞による非現実的メイクなんだし。


また、劇中では、すっぴん顔の方を、「結構な不細工」って扱い方するんだけど、
すっぴんの役者さん、全然不細工じゃない、むしろ綺麗なんだもん。
最終的に「美人じゃないけど可愛い」って事になって、大団円になって、
まあ、そこは説得力あるんだけど、その前の
「結構な不細工」ってのが全然生きないんだよなー。



・新詰間/緋桜忍
なんか、毎回見に来てる人にはお楽しみのコーナーであろう、
ボケるコーナーがあるんですよ。
そこが、ストーリーのクライマックスのいいシーンで入るんだよ。
そこじゃないだろ!
こっちはせっかくストーリーに集中してるのに、
そのボケいらんわー!
その邪魔いらんわー!!
ってなるんだよなー。

まあ、そこであえて入れるのも意図なんだろうけど、
そのボケもよくわからんし、ちょっとなー。



・ヘアメイク/六川裕史
芸能系スタッフに誰かしらいそうなオカマキャラは彼。
あまりにレベルの高いオカマ役のため、
性別が不明だが、多分男…だよね?
今回たまたまオカマ役を演じたのかと思いきや、
ブログなんかを見ると、他でもオカマ役を演じてる…というより、
オカマ専用の役者なのか?!
そういう方もいるんだなー。
なんかいいとものオネエ系イケメンの枠で出たことあるらしいよw
多分俺、見てた気がする…



右手愛美
ひいき目に見てるせいもあるが、
動き、オーラ共に他の人より抜けてる印象。
オーラはデコの広さによる輝きのせいかもしれないがw





〇ゲストコーナーについて
この舞台には日替わりでゲストが登場します。
主役のモデルがこれからレベルアップしていくための講師役、
という形で登場します。
他の回は知りませんが、俺が観た回はそうだったので、きっと他もそうだと思います。
回し役は右手愛美

「一か月やる公演のリピーター客をつかむ」という意味では
大事なコーナーでもありますが、
1回だけ見る人にとっては、完成度の高い他のパートと違って、
いきなりアドリブっぽいやり取りが多くなるので、違和感はあったかな…
面白いは面白いんだけど。




〇お楽しみコーナー


本編終了後、休憩をはさんで行われるコーナー。
主演の東と右手が、今日のゲストを呼んでフリートークをした後、
ピヨレボメンバーの残り二人を交えて、2対2対2の即興芝居対決。
その後、6人全員で即興芝居をする、というもの。
即興芝居のお題は、ゲストのTheatre劇団子さんが笑って泣ける舞台を特徴とするため、
「笑い」ワードと「泣き」ワードをそれぞれ引いて、
そのワードがオチになるように、時間制限の中で芝居するというもの。


で、これがめちゃくちゃクオリティ高い!!!
役者ってこんなに即興で芝居できるもんなの?!
ってのが驚いた。
だって、引いたワードを打ち合わせもなしにやるんだぜ?
お互いのストーリー展開の駆け引きもありつつ、
アドリブの笑いも起こりつつ、うまいんだよなー。
本編とはまた違った驚きや感動といったエンタメがあり、
連日来るような客がいるのもわかるなー、と。



ちなみに最初のフリートークでは、
劇団子の大高さんは、月9で右手さんと共演したことあるらしい
(おそらく「夏の恋は虹色に輝く」)。
で、大高さんは右手さんの事を覚えていたけど、
右手さんは覚えておらず「初めまして」と挨拶した、との事w

で、何故右手さんの事を覚えていたのか、というと、
右手さんの自己紹介が、上手く言葉で説明できないが、
自分の小さいおっぱいを掴んでは投げ、掴んでは投げ、
無くなっちゃったー!みたいな、インパクトのある自己紹介を
していたから、だそうです。
どこが自己紹介なのか全然わかんないけどw

まあ、この件で、右手さんの若いころからのコメディセンスも伝わるし、
下ネタもいけるんだな、というのが分かりましたw




〇客入り
会場はほぼ満席。
もしかたら完全満席じゃないか、という位の客入り。
最初は並んでる人も少なくて、平日の昼間だし、ガラガラなんじゃないか…?!
と思われたが、あとからどんどん入っていって、見事に埋まってました。
確かに本編はもちろん、ゲストやお楽しみコーナーも面白いから、
納得だなーってのもある。
あと、主演の東が、結構TLで話題になったりしてた
生ハムと焼うどん」というユニットのメンバーだったことも後にわかり、
アイドルヲタが現場に通うような感覚もあるのかなー、と。
物販でしゃべったりできるみたいだし。



〇総評
結構辛い事を書いた気もしますが、基本的には面白かったです。
何より、キャラクター、雰囲気など、愛すべき世界観であった、っていうのがいい。
なんだかんだで、また観たいなー、と思わせるものがあったもんなー。
歌と踊りを取り入れた舞台は、俺が今まで観た舞台には無かったものだし、
パターンとしてもアリでしょう。


で、右手はカンコンキンでいけるのか、という所ですが、全く問題ないでしょう。
下ネタの耐性もあるでしょうし、アドリブ、コメディセンス、
そして何より女優としてのスキルがしっかりあるのがいい。
俺が観た中で、カンコンキンの女性陣、って、ちゃんとした女優が少なかった。
いたにはいたんだろうけど、カンコンキンでしか見たことない、
知らない人も多かったし。
そんな中で右手の女優スキルがどう発揮されるのか、
カンコンキンは、色んな出演者のコーナー、というものがありますが、
舞台の座長でもあり、客本も書いてる右手のコーナーがあるのか等、
期待させるものがあります。

ただ、出来れば、関根麻里との共演も見たかったけどね…
関根麻里は、カンコンキン女性陣の中では目立つ存在で、
ウド先生のコーナーなど、特別な役割を与えられてる事も多い。
そういうシチュエーションで関根麻里と張り合ってほしかったなー。