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感想は、面白いのももちろんだが、それ以上に
「良くできてる」という印象。
海の演出や、ヒロインとUNOやツイスターゲームからのDDR,
金の斧と銀の斧ギャグのテンポの良さ、
そしてこういったギミックがラストに一気に畳みかけられる感じが秀逸だった。
演劇的な良さがより際立っていた気がする。
今回の舞台は、出演者が全員梅棒で、ゲストがいないという特徴を持つ。
このパターンは、過去に「OFF THE WALL」というのを見たのだが、
「OFF THE WALL」は、当然ながら面白かったが、
梅棒の作品をランク付けするなら、下の方だった。
故に、今作は不安もありましたが、その不安は全くなかったかな。
十分すぎるほど楽しめました。
ただ、今作を順位付けした場合、上位にはいかないかもねー。
もちろんストーリーはあるが、舞台となるしょうが島の日常、
情景描写にも時間が割かれ、割とゆっくりめのストーリー展開なのもあるかも。
もちろんこれもいいが、全編割とストーリーがある方が好きではある。
〇唐突に始まる時代劇(本能寺の変)
今作の特徴の一つ。
今作には荘六という落ち武者の幽霊がいるのだが、そのエピソードが語られる時に、
急に時代劇が始まるのだ。
ここはバリバリセリフありで、しかも、いかにも時代劇って感じの言い回し。
梅棒は、役者Aがメイン役以外に色んな役をやる事も多いのだが、
今作は、それがほとんど見られない。
唯一あるのが、このシーンと言ってもいいし、ここに集中してるってのも、
変わってるなー。
今作は、俺がファンになる前に行われた過去公演
「クロスジンジャーハリケーン」の再演。
再演に当たって1/3くらい変わったので、このシーンが追加シーンではないか?
と勘ぐっているのだが、
Spotifyにある「クロスジンジャーハリケーン」のプレイリストを見る限り、
このシーンはあるっぽいんだよなー。
どのシーンが変わったんだろう。
海のシーンなんかは、舞台装置、美術のレベルアップが見られるから、
その辺かな?
〇席について
SS席が取れなかったので、二回ともS席だったのですが、
1回目こそ20列とかなり後ろの方ではありましたが、
2回目は5列目と、ほぼSS席と変わらない席を引き当て、
前と後ろ両方で楽しめました。
当然2回目の方が表情もはっきり見え、
ストーリーも理解しているからこその表情の変化も楽しめ、
2回目の方が感動出来て楽しめました。
だが、ツイスターゲームやDDR、海のシーンなど、
俯瞰で見た方が楽しめるシーンもあり、
後ろは後ろの良さもあるなーとは思いました。
〇ストーリー
夏。
舞台はしょうが島という、とても小さな島。
何故か男性しかいないが、そこへ観光に女性がやってきて、
色めきだつ島民。
その後にやってきたのはイケメンシティボーイ。
そして島の祭り&島一周競争の日がやってきた…
〇舟戸朗希(多和田任益)
今作のストーリーを動かす最重要人物であり、
今作の特徴の一つと言っていいだろう。
前述のイケメンシティボーイが彼なのだが、
彼がてっきり悪者、敵役、性格悪かと思いきや、
意外や意外、めっちゃ爽やかで、島民もヒロインが来た時のように
くらくら彼の魅力にやられてしまう。
思ってたのとは違う!
と思ってたら、実はヒロインの元カレというのが後に分かり、
とんでもないサイコ野郎だった…!
この豹変ぶりが実によく、悪人だと思ったら善人だと思ったら悪人だったー!
っていう二転三転ぶりが心に刺さります。
サイコ演出も非常に良い(とはいえもっとやれ!って感覚もあるw)。
特に2回目は、その表情の演じ分けもはっきりと見え、
ストーリーも理解しているが故の、演技の素晴らしさに目を奪われました。
最終的に主人公と、島の行事である島内一周マラソンでヒロインを賭けて?
勝負することになるのだが、この決着のつき方が良くわからなかったんだよなー。
これが評価を下げてるポイントでもある。
二回目に見たときに気付いた感じは、ゴールがヒロインである巫女で、
それにタッチするのが条件だった?
だとしても、もっと早い段階でそれを明確にしておく必要があるとは思うが…
俺が見逃しただけ?
てっきりテープカット的なゴールかと思ってこっちは見てるからさー。
演じる多和田さんは、うちパパで見てから、
俺の中のイケメンランキング1位をずっと走っている人。
今作は、ザ・イケメンキャラという事で、嫌味な位のイケメンっぷりを
堪能できるのが良かったですw
〇早田ゆうき(野田裕貴)
今作のヒロイン。唯一の女性キャラ。
今作の出演者が全員梅棒である以上、
女装は避けられないわけですが、
女装するなら野田さんだろうなー、と思ったら、ドンピシャでしたね。
とてもかわいらしく、素晴らしい女性役でしたが、
あえて言うなら、なんか既視感ある演技プランだなー、とも思いましたw
キャラメルボックスの時のやつかなー。
と、1回目は思いましたが、2回目見たときは、
表情が良くわかって、
完全にかわいらしいヒロインとして成立してるなーと思いました。
俺は、大前提として女性役は女性が演じて欲しいって気持ちがあるのだが、
そんな気持ちも吹き飛んでしまう位の、完全ヒロイン像だと思いましたね。
本当に素晴らしかった!!!
観光で来たのに、何故か島の巫女をやらされるのですが、
そのくだりはもうちょっと説明があっても良かったかなー。
「まあそういうもんだろう」では片づけられない「さすがに?」
って感覚はあった。
〇小牧将大(遠山晶司)
今作の主人公。
甲子園を目指す野球青年。
ヒロインとの色恋沙汰は、爽やかな終わりではあったが、
爽やか過ぎて物足りないかもなーw
2回目見たときは、十分納得&大感動出来ましたけどw
今作のラストシーンが、
ヒロインが島民とお別れして帰っていくシーンの後に、
主人公が野球で活躍する風のシーンで終わるのだが、
このシーン蛇足に思えたなー。
主人公一人ってのがちょっとねー。
あのシーンに島民が応援してる状況もあったら全然アリだった。
でなければ、カットでもいい。
あと、ちょっと演出も物足りない。
もうちょっとじっくり描いてくれてもいいし。
シンプルすぎる。
梅棒舞台の主役って、俺の中では影薄くなりがちなのですが、
今作は、遠山さんの表情の良さや、
全体的な人数の少なさもあり、
主役としての存在感がしっかりあって良かったです。
〇神奈志輝星(鶴野輝一)
主人公の友達の勉強青年…のつもりで見ていたら、
登場人物紹介良く見てみたら、中学生だったwww
主人公を兄のように慕うポジションなのね…
普通に友達だと思って見てたわw
そこまで存在は効いてなかったかなー。
まあ、友達だよね、ガリ勉キャラだよね、って感じのポジション。
とはいえ、後述イケビッシュとの関係性はなかなか良かった。
学ランの膝小僧がツギハギで貧乏くさいのは、
うちパパのオマージュか何かですか?
〇霧陰昴(櫻井竜彦)
警察官。
ピーポくんを大事にしてるという設定が、随所に面白を投入。
警察ならではの銃撃戦や、
『LOVE YOU ONLY』での「これはデートなのか…」が秀逸。
〇稲田幸太郎(楢木和也)
漁師。
海キャラ故に、上半身はほぼ半裸。
海のシーンでの活躍や、シティボーイに特に懐いて
同じ服を買ったりと、キャラ立ちはいい感じです。
後述の花火師との友情、関係性も〇。
〇華撒翔平、DJ OH(塩野拓矢)
塩野さんだけ、メインキャラ2役兼任です。
華捲は花火師で祭りキャラ。
いかにも花火師、江戸っ子みたいなスタイルは塩野さんに良く似合います。
表情の良さは、メインキャラ以外では随一。
花火は映像で表現。
これがまた夏を感じさせていいんですよねー。
DJ OHは派手な格好をしたDJ。
ラジオもして、曲もかけます。
本作では開演10分前から、
DJ OHのラジオ番組が始まります。
開演前から観客を世界に引き込み、
シームレスで本編に入るのが梅棒の毎回素晴らしい所なのですが、
10分前からってのは初めてじゃない?
大体5分前だし、しかも結構ガッツリめのコーナーなんだよね。
それまでは、ちょっとしたサービス位のレベルが多かったからさー。
しかも、この際のネタメールをツイッターで募集するというのは
今までにない要素。
DJ OHが島在住なのかどうかが気になった。
シーンの登場的にほぼほぼ島民っぽいけど、
ヒロインがこの番組にメール?を送って、
それがヒロインが島に来るきっかけになるわけだが、
東京だと島のラジオ聞けないでしょー。
わざわざラジコ入って聞いてるんか?
ってかラジコで聞けるほどのちゃんとしたラジオだとも思ってない、
コミュニティFMレベルだと思うんだが…
というのは野暮なツッコミか。
と思ったら、パンフ見たら
「しょうが島のお祭りにはいつも参加している」との記載があるから、
島在住ではない可能性もあるなー。
わっかんねーw
1つの曲中に、DJ OHと華撒が同時に出演するシーンもあり、
早替えも見もの。
サングラスとカツラと服を脱ぐと華撒にサクっとなれちゃう感じなんかねー。
〇星恭伸(天野一輝)
島の神社。
結構なギャグキャラで、特にヒロインを連れ込んでUNOやら
ピコピコハンマーに興じるシーンは、なかなかの良シーンでした。
はしゃぎっぷりが可愛い。
〇イケビッシュ(伊藤今人)
蛸壺池という池の主。
池に物を落とすと、金の〇〇、銀の〇〇を出してきて、
そこからのギャグが素晴らしい。
ジュディ・オングの『魅せられて』で登場し、
姿も派手派手で怪しい。
登場シーンこそ少ないものの、圧倒的存在感を示します。
島民とは違う存在感ですねー。
2回目見たときは、随所の登場で拍手が起き、
完全に美味しい存在になってましたねw
リスナーから「イケてるビジュアル=イケビジュ」とかけている名前ですか?
という質問があったが、そうではないとの事。
そもそも今人さん、イケビジュという言葉知らなかったみたいだし。
まあ、俺も初めて知ったけどw
〇宇目沢荘六(梅澤裕介)
戦国時代、信長に使えた武将の幽霊。
存在は主人公にしか見えず、主人公をサポートしたり、
バッティングフォームを伝授したりと、随所で活躍。
ただ、そこまで効いた存在でもなかったかなーって気もする。
おどんろの、人間と妖怪の友情、みたいなレベルに達してるわけでもないし。
〇BURN/THE YELLOW MONKEY
イケメンシティボーイのサイコっぷりが存分に発揮されるシーンで流れるのだが、
似合ってない気がしたなー。
知らない曲だったら、そういうもんかなーって思っちゃうけど、
知ってる曲だったので、
「ん?これ合ってるか?」って気になっちゃうんだよなー。
すごく大事なシーンだしさー。
〇完全感覚Dreamer/ONE OK ROCK
今回のオープニングダンス曲。
ここでは「役柄」ではなく「梅棒個人」としてダンスするのだが、
衣装はもちろんとして、女役の野田さんが、わざわざメイクを落として登場し、
またメイクしなおして、のちの女役をやっていることに気付いて、
うわーすげーって思っちゃったね。
その手間と労力を惜しまない感じが好きなのよ。
今作で一番好きなシーン。
なんといっても、海の表現が素晴らしい。
ステージ上に海の幕が2本走り、
サーフィンと水上バイクで並走。
このアイディアとスピード感に感動しましたねー。
その後の海中に沈んでしまうくだりとかも、
映像を駆使してよく表現されてるし、
この楽曲ならではの、
ラジオネーム恋するウサギちゃんからのメールをDJ OHが読むくだりなど、
アイディアに溢れたシーンです。
恋するウサギちゃんが友達の勉強中学生だというのは、
2回目に見てわかりましたw
〇あすなろ音頭/梅棒 feat. DJ OH
今作のオリジナル楽曲。
舞台冒頭に盆踊りのフリをレクチャーされ、
ここでそれを披露する流れになるのだが…
最近の盆踊りよろしく?
途中からユーロとは言わないまでも、アップテンポのダンスソングに変貌。
その状態で躍らせてほしかったなー。
アップテンポで踊ったら絶対楽しかっただろうに。
もっとずっと躍らせてくれても良かったw
そんなところかなー。
歴代作品の上位には食い込まないが、
素晴らしい作品なのは間違いないです。
特に2回目の感動があってこそだけどねー。
やっぱり前で見てこそっていうか。